晴天の霹靂

まさに晴天の霹靂。

『山本が怪我して重傷なんだ!獄寺くんも早く病院に来て!』

久々の休日に、すぐに起きるのもなんだかもったいなくてベッドの中でゴロゴロと惰眠を貪っていた時に10代目から電話を貰った。

怪我をして重症。
その言葉に眠気なんかいっぱつで飛び、急いで家を出た。


タクシーに乗って病院へ行こうと思ったがこういう時にかぎって中々掴まらない。

「くそ!」

何度目かのチャレンジの後、俺はタクシーを掴まえるのを諦めて走り出す。
10代目から聞いた山本が搬送された病院はここからそんなに離れていない。
ダッシュで向かえば20分くらいだろうか。

走る覚悟を決めた俺は、邪魔なジャケットを脱ぎ捨て病院へと向かった。




☆☆☆☆☆☆☆



「10代目!山本の容態は!?」

全力疾走で病院へたどり着いた俺は、ナースステーションで聞いた山本がいる病室の中へと勢いよく飛び込んだ。



「獄寺、病院では静かにしろよ」



そんな俺に返ってきた返事は全く緊張感のない言葉。

しかも、その言葉を発したのは怪我で重症の山本…。


「…一体、どうゆうことだ?」


ずっと走りっぱなしだったから酸欠で頭が正常に機能していなにのか?
俺の目には『重症の山本』は見当たらない。

「獄寺くん…ごめん。俺の勘違いで、重症なのは違う人だったみたい」

すまなそうに両手を合わせながら10代目が何度もごめんと頭をさげる。


事の真相はこうだ。

今日、山本と10代目が会う約束をしていて待ち合わせの場所へ山本が向かう途中に事故に遭遇したらしい。
車に弾かれそうな女性を助ける時に受身を取り損ねて肩を骨折。
車の運転手は女性を避けてそのままガードレールに激突、意識不明の重態…。

「山本から電話貰ったとき、電波の状態が悪くてさ『事故』と『怪我』『病院』と救急車のサイレンが聞こえて大変だ!って…」
「はぁ…」

その話しを聞いたら一気に張り詰めていた気持ちが解け、どっと疲れが襲ってきた。

「悪いな、獄寺。お前にまで心配かけちまってよ」

立っている気力もなくなり、その場にしゃがみ込んだ俺に山本が言った。

人が心配したってのに何だか嬉しそうな喋り方に物凄く腹が立って来た。


「別にてめぇの心配なんて1ミクロもしてねぇよ!」
「そっか」
「そうだ!ただ…てめぇを倒すのは俺って決めてるから…だから怪我ごときで死ぬんじゃねぇって喝を入れに…」
「そっか」

全然心配なんかしてねぇって言ってるのに、俺がそれを言えば言うほど何故か山本の顔には笑みが浮かぶ。

「ちっきしょ…!!」

その笑みが物凄く…言葉では言い表せないほど物凄くむかついた俺は隠し持っていたダイナマイトを取り出し火をつけようと構える。

「ちょっと、獄寺くん!!ここ病院…!!」

血相を変えながら止めようとする10代目。

「10代目!止めないで下さい!!」
「駄目!絶対にそれに火を着けたら駄目だからね!」


そんな俺と10代目のやりとりを見ながら山本は声出しながらまた笑いやがった。


「ちょっと、山本!!笑ってないで止めてよ〜!!」
「いや、だって…俺ってば愛されてるな〜って思ってよ」
「や、山本!!」


誰が、誰を、何だって!?!?!?!?


「もう、我慢できねぇ…山本!果てろ〜〜〜〜!!!!!」



その後、10代目の悲鳴と大きな爆発音が病院内に木霊した…。





素直じゃないごっきゅん…LOVEです☆




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